かねてより自分がインターネットにおいて完全にパブリックに公開している各コンテンツのライセンスについて明示してきた。すなわちソースコードについては GNU GPLv3 、それ以外の文章等については CC BY-ND 3.0 というライセンスである。これについて、今年に入ってからひっそりとソースコードのライセンスを GPL から GPLv3/LGPLv3 のデュアルライセンスに変更した。それって単なる LGPLv3 と一緒じゃないのと思う人もいるだろう。だが、あくまでデュアルライセンスの形態を採用しているのには理由がある。私がハッカーとしてこの世で最も敬愛しているリチャード・ストールマンの思想によると LGPL の採用はフリーソフトウェアとしての後退を意味する。一方で、私自身が利益を追求する企業に所属している以上やむを得ない事情もある。しかしながら単純な LGPL 採用を善しとしない思想上の理由から GPL/LGPL のデュアルライセンスとしているのである。すなわち、ソフトウェアは本来 GPL なのだが便宜を図るため LGPL も「採用可能」としているだけに過ぎないのである。

リチャード・ストールマンと言えば Free Software Foundation の創設者であり、コピーレフトという言葉の提唱者であり、最初のオリジナルの GNU Emacs の生みの親であり、スティーブ・ジョブスの死に際して彼を「監獄としてのコンピュータをクールなものに変え、愚か者を自由から切り離すように仕向けたパイオニア」と称し「彼が死んで嬉しいとは言わないが居なくなって嬉しい」と述べて物議を醸した人物であり、 wget と mail でインターネットの情報を参照しブラウジングを直接することのないパラノイアとして知られている。ただいくら敬愛しているとはいえ私は彼の言説を全てにおいて肯定しているわけではなく、クラウドコンピューティングソーシャルネットワークまで完全否定しているのは同意していないし、普通にアップル製品のようなプロプライエタリな機器も愛用したりするのだが、まあ彼について語るのはまた別の機会にしよう。

さて本題。

Deferred Sync
これはひと言で表現すると単なる rsync を実行するためのシェルスクリプトなのだが、とりあえず重要なファイルを定期的にネットワーク経由で退避させておきたいといった用途において威力を発揮する。詳細についてはご丁寧に日本語のドキュメントを書いたのでそれを読んで欲しい。設定ファイルを記述するだけで面倒な rsync のオプションを設定できるのがメリットである。また差分を世代で退避できるので更新履歴ごとバックアップを取得できるので汎用性が高い。プラグイン形式で有効にするモジュールを選択することができる。モジュールといっても中身は自動的に実行できるシェルスクリプトなら何でも良くて、中にはシステムを自動更新したり Ubuntu のカーネルを最新化したりといったものもあるので、必要に応じて好きなものを有効にすれば良い。

Instant Deployer
上の派生でデプロイツール化したもの。クローズな環境にリポジトリがあって Capistrano で直接チェックアウトできない環境を想定している。中間となるマシンで rsync によりファイルを同期、その後リモートコマンドを発行して各種プロセスを再起動したりする。中間となるマシンはリポジトリと同一でも良いのだが、オープンな環境では正直あまり使い道は無い。ドキュメントはこちら

The zsh pluggable framework
これもただのシェルスクリプト。というか .zshrc をバラして拡張可能にしたもの。こちらに解説記事がある日本語ドキュメントはこれ。これは割りと使い勝手が良いのだが、現段階で作者の個人的な設定と汎用的な機能の部分が切り分けできていないのでなんとかしたい。

Twitter Viewer
以前に書いたので省略。

dot emacs
個人用の単なる dot emacs である。いろいろとパクった結果としてざっと wc -l してみると 13 万行くらいある。とは言っても自分でスクラッチから書いた部分はその 1 割にも満たないだろう。これは要望があれば使い方をドキュメントにまとめたい。使い方といっても普通にインストールスクリプトを叩けば良いのであってそのまま使える。上の .zshrc と同じ思想で、システムの全ユーザーでコンパイル済みの Emacs Lisp のバイトコードを共有できる部分は共有しようといったことを目的とした作りになっている。

gthumb
Debian Lenny の gthumb を改造したもの。主にキーバインドを Emacs ライクにしたのと、画像のフルスクリーンやスライドショーをディレクトリ内で循環したりということができるようになっている。とはいえ変更したのはオリジナルからごくわずかなので成果物と言えるレベルにあるのかも怪しいしそもそも Lenny はサポート切れになってしまい古いのでいい加減に現行のバージョンに追随したい。元のバージョンが古いとはいえ .deb パッケージを生成して dpkg -i すれば Debian Squeeze 以降や Ubuntu などでも普通に使える。バージョン番号の都合上パッケージをホールドしたほうが良い。

Termtter Plugins
Termtter というソフトウェアのプラグインをいろいろ自作したりしたもの。

他いろいろ。

おわりです。

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