Facebook には少し書いたのだが、今年に入ってから 90 年代に使っていた PC-98 と呼ばれる PC を発掘したので起動した。もう 15 年前後も経っているというのに正常に利用することができて感動してしまった。あの ThinkPad ですら数年ほど電源を入れないで放置しておくと起動しないことが多いのに、さすが発売当初 40 〜 50 万円程もした高級マシンである。そんなわけで今回は PC-98 の話。

PC-98 のソフトを使う
当時のソフトウェアを利用するためには以下のものが必要だ。
1. PC-98 エミュレータ
2. MS-DOS (オペレーティングシステム)
3. 動作させる対象のソフトウェア

PC-98 エミュレータ
まずはエミュレータ。時代が経過しているだけあってエミュレータも成熟している。以下の 2 つがおすすめである。
Neko Project II
T-98 NEXT
前者は初心者向けでわかりやすいオールインワンな環境。後者は実機から BIOS を取り込むことができたりとなかなか高機能である。

日本語 MS-DOS 5.0A (または 6.2)
MS-DOS は 5.0 系がおすすめである。現代においては信じられないことだが、当時のソフトの中にはバージョンチェック時に if version == 5.0 のような判定をしているものが平然と存在しており、結果的に長く使われて成熟していた 5.0 が最も安心して使える。ディスクの内容をエミュレータで使えるよう仮想イメージに変換する必要がある。 PC-98 の FD イメージツールはたくさん存在しており、以下のページにまとまっている。
Melog: PC-98 FD イメージ一覧

さっそくエミュレータで HDD イメージを生成し MS-DOS をインストールしよう。インストールが完了すると仮想 HDD からオペレーティングシステムを起動できる。これで 32bit 版の Windows 上で PC-98 の環境が再現する。なお画像のように MacBook 等の上で VMware を起動し Windows を動作させさらにその上でエミュレータを起動しても問題なく動作する。

またエミュレータで生成した HDD イメージにアクセスできるソフトウェアもあると便利だろう。以下のソフトがあると現代のファイルシステムと PC-98 の HDD イメージの間でファイルをやりとりできる。
DISKExplorer

動作させる対象のソフトウェア
ここまで来ればあとは目的のソフトウェアをインストールまたはコピーし起動するだけである。当時の 86 音源と呼ばれるステレオ FM 音なども忠実に再現されており実に素晴らしい。

当時は市販のゲームソフトで遊ぶだけでなく、ゲームやツール等のソフトを自作したりハックしたりして遊んだものである。当時欠かせなかったツールのひとつにバイナリエディタが挙げられる。ちなみに画像のものはかなり後期に登場した PowerWitch と呼ばれる Pascal で実装されたバイナリエディタで、非常に高機能であり当時大活躍した。

いま使われている MacBook Air や、あるいは iPhone や Android といったガジェット、そしてその上で動作する様々なソフトウェアの話題も、いつの日か懐かしい思い出話に変わる時が来る。時代が変わってもソフトウェア資産は継承されるべきであって、そのためには VMware や KVM などをはじめとした仮想化技術が役に立つだろう。仮想化技術はなにも現代の TCO 削減やビジネスのための手段だけに留まらず、ソフトウェア資産を将来的に保護するためにも重要な役割を果たすのである。

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