自ら募兵・徴兵によって兵力を増やすのが本来の王道ではある。しかし敵勢力の兵を奪うことができれば、自ら資材を投じて兵を増やさなくても戦略を大いに有利に展開することができる。旧シリーズでは、人材登用によって将の抱える兵を丸ごと自勢力に組み入れることのできる作品も多くあったが、三國志Ⅴの人材登用ではそうはいかない。将を引き抜くことはできるが、その配下の兵は敵国の予備兵となってしまい、そのままでは自勢力に組み入れることはできないのだ。
三國志Ⅴにおいては、捕縛した敵将を降伏させ配下として登用できればその傘下の兵士も自勢力に加わるわけだが、敵将が必ず屈するとは限らず、敵の領土がまだ残っていた場合は屈服する可能性はかなり低い。またそもそも戦場で捕縛する時点で戦によって多くの兵士が死亡しており、加わるのは残存兵力のみとなる。このような正攻法以外に、敵勢力の兵を奪う方法は 3 つ存在する。
1) 特殊能力の心攻
誰でも真っ先に思いつくのが特殊能力の心攻である。戦場において敵部隊の兵士を接取する技であるが、その部隊の最大兵士数以上に増やすことはできないため、主に寡兵での戦術となる。なお訓練度などの数値は、どういうわけか吸収する側の数値がそのまま適用される。おそらく再計算すると面倒なので簡略化したのだろう。さほど多数の兵士を吸収できるわけでもなく、また敵部隊と接触しないと行使できないため反撃による被害のリスクもあり、体力消費もそれなりに大きいと、実戦においてはなかなか使い所が難しい。損兵率が評価に大きく影響する英雄バトルロードであれば他に兵数を増やす手段が存在しないため非常に有用であるが、本編の中華統一シナリオでは所詮誤差の範囲である。余計な小細工をせず普通に殲滅したほうが良い場面も多々ある。
2) 計略の敵中作敵
次によく論じられるのが計略の作敵である。敵将に内通を約束させ、戦場で実際に寝返らせるという手の込んだ技である。戦の真っ最中に敵部隊が自部隊に変化するというのはかなりのインパクトであり、成功したときの見返りは大きい。本来なら侵攻できるのは最大 10 部隊までという制約も超えることができるのだし、配置がきわめて重要なこの手のゲームにおいては戦局を覆す可能性もある出来事である。ところがこれもデメリットがある。まず成功までのハードルが高い。そもそも敵君主との血縁人材、忠誠度 100 の将、忠誠度 90 以上かつ相性差 3 以内の将は引き抜くことはできないのだが、これに加えて忠誠度 95 以上かつ義理 10 以上の将も作敵には応じない。たとえ内通を約束できたとしても、いざ戦場で寝返りを持ちかけると裏切られることもある。また計略成功から 3 ヶ月ほど時間が経過した場合も無効となってしまう。さらに戦場で敵将を見事寝返らせることに成功したとしてもその将は忠誠度 100 であることは少ないため、さらにまた寝返りされてしまう可能性も残されている。やや大掛かりな仕掛けの割にはこのように安定しないのがデメリットである。
3) 予備兵を奪取する
冒頭で本作の人材登用では兵を奪取できないと書いたが、実はやり方がある。人材登用が成功した場合、その配下の兵は敵国の予備兵となる。予備兵のある敵地を侵略した場合、陥落させればそれは自領土の予備兵となる。そこで、隣接国の敵将を人材登用で引き抜き、敵勢力のターンが回ってくる前にすぐに敵地へ攻め込むのだ。この戦で勝利すれば兵を奪うことができる。これはかなり手軽な上、戦によって減少した味方の兵数をすぐに予備兵の再編成にて回復することもできるため、きわめて実用的である。また敵国の将全員が最大まで兵を抱えていた場合、他から将を移動させてくるなどしないと予備兵をすぐに戦力化できない。場合によっては数ターンくらいなら経過しても予備兵が残存していたりする。
結局のところ、隣接国に侵攻する直前にその国の将に人材登用を試行し、一人二人引き抜いてから攻め込むのが一番お手軽かつ有用というわけだ。