インカムゲインに着目した投資とキャピタルゲインに着目した投資は果たして何が異なるのだろうか。
株価は将来に渡って支払われる配当の総額を織り込んでおり、配当が支払われると配当落ち分株価が下落するのだから、高い配当利回りだから必ずしも良いというものではないというは、確かにその通りである。
配当利回りが 4% だとして配当落ちの度に株価が 4% 下落するとしよう。ではこの企業の株価は 25 年後にはゼロになっているのだろうか。おそらくその企業の株式を買った投資家はそう思っていないはずである。
インカムゲインに着目して投資をするということは、現時点での配当利回りだけに目を奪われることなく、時間軸を考慮して将来の利回りがどう変化していくのかまで考えて投資をしていくことになる。
一方、キャピタルゲインに着目した投資においては、当然ながら将来の株価の値上がりに期待して投資をする。
つまり企業の将来価値に投資するという意味では本質的に同じなのである。
配当は、資本剰余金を原資とする配当は別として、一般的には利益剰余金を原資として支払われる。
その利益剰余金とは、利益準備金、積立金、繰越利益剰余金などから構成される。一般的に、利益剰余金が増加すると自己資本の額も増加するため安全性の高い会社であると見なされるものである。
一方、企業が成長し業績を伸ばしていくためには、常に新しい投資が必要となる。単純に考えて、株主に支払う配当金を少なくすると、会社は設備投資など将来の利益を生み出すための投資に回すことができる。
そう考えると、両者の違いは、自己資本の額が増加し財務的に総還元性向を維持できるかに着目するのか、あるいは積極的な投資で将来の利益を伸ばしていくのに着目するのか、着眼点の違いと言えるだろう。
本質的には同じだが、着眼点としてよりファンダメンタルズに寄っているのが前者、マーケットの影響をも加味して企業の成長戦略に着眼しているのが後者と言えないだろうか。
異論は認める。