三國志Ⅴの内政はとても特徴的であり、開発コマンド一発で全都市の全内政担当が一気に農業、商業、防御、治水のすべてを上昇させるという、シリーズを通しても屈指のシンプルさとなっている。また獲得できる経験値も内政に参加したすべての将が一律で 250 を獲得するという、効率性の高いものとなっている。なお君主はどういうわけか内政には参加できない。成長を考慮すると、シナリオ上登場したばかりの人物や、新武将など、特殊能力が 6 つすべてオープンになっていない将なら、できるだけ内政に参加させたほうがより効果的である。この内政による蓄積というのは決して無視することができず、ゲーム開始後から年数が経過すると内政に参加してきた将とそうでない将には結構な経験の開きが出てくる。すなわちこれは単に都市の内政値を上昇させるだけでなく、将の成長のための重要なコマンドとなるのだ。そこで内政の効率について考察する。
無印版では一年に一度しか担当部署を変更することはできなかったが DS3 版以降では毎年 1,4,7,10 月と一年に四度担当を変更することができる。そこでこれらの月は内政を実施する月であると割り切り、一旦すべての配下を内政担当にして開発を実行する。これにより君主以外のすべての将に 250 ずつ経験値が入る。単純計算ですべての将が一年で 1,000 の経験を獲得できる。例外として、防御を含む全都市が最大値であった場合はその都市の将は開発を実行できないので注意が必要である。防御が 999 になったら、その都市にはすでに成熟した将、すなわち特殊能力が 6 つすべてオープンになった将のみを配備するのが望ましい。また内政を進めていくと、都市の内政値のうち農業、商業、治水のみが最大値となり、防御のみが 999 未満という状態になることが多い。この防御以外の数値が最大となった都市は開発終了とみなし、忠誠度と魅力の高い太守ひとりを残して別な開発途上の都市に人材を移動するのが望ましい。もちろん最前線都市は敵からの防衛を考慮して戦力をある程度配備する必要があるが、敵勢力と隣接していない都市は概ねこの方針で内政を進めていくのが良い。
また 1,4,7,10 月以外の月には内政は原則として実行せず、移動による再配置や、敵勢力への侵攻などを実施する。内政を実行すると将の気力を 30 消費する。この消費は無視できない大きさであるため、気力回復のためにもインターバルが必要である。各都市の内政値をチェックし、開発終了した都市からは人材を移動すると良いだろう。移動そのものにも将の気力を 25 消費するが、内政よりは少しだけ小さめの値である。移動自体も経験値を 200 得られるため、不要不急の移動であろうともなるべく将を動かしたほうが経験値の効率は優れる。敵勢力への侵攻は気力を 40 必要とするが、もし前線都市が開発終了となった場合は、侵攻により新たな領土を獲得することも検討する。また季節の境目には災害が起きることがある。このときは真っ先に巡察によって民を慰撫することが大切である。その月は最後に開発コマンドを実行し、翌月以降に移動をするなどして内政値の低下した都市に人材を配置するようにする。
このようにすべての配下により内政を実施すると、その月は君主以外の全員が行動済となる。そのため残りの命令書をどうするのかということも考える。基本的にはゲーム序盤から中盤はすべて褒美に費やしてしまうのが良い。行動済であろうとも影響を受けず実行可能な命令であるからだ。これにより全都市の内政値の上昇、経験の獲得によるすべての配下の成長、そして将の忠誠度の上昇を実施でき、その効率性は高いと言える。なお、上記のように開発終了しており太守が一人のみの都市であれば、開発コマンドを実行する前に巡察をおこない、民忠誠度の上昇を狙うのも良い選択である。この場合、その都市は太守が行動済となるので内政の対象とはならず少しでも軍資金の節約になるだけでなく、民忠誠度も上昇し、巡察でも経験値 250 を得られるため成長にも遅れを取らずに済む。内政値のうち防御はさほど重要なパラメータではないため、防御のみを残して都市をどんどん開発していき、防御以外が最大値になったら太守一人を残して巡察をおこなうのだ。
ところで 1,4,7,10 月にすべての配下を内政担当にすると、これを元の担当部署に戻すのがやや面倒である。この場合の手順としては次のようにする。まず前線都市を中心に、武力 90 以上の将をどんどん軍事担当にしていく。場合によっては武力 80 以上の将も含める。順番としては最初に軍事担当を任命する。なぜ最初に軍事なのかというと、内政と軍事は担当の任命が都市単位の操作となるため、一通り軍事担当を任命したあとに内政担当を選択することで、地図上で光っている都市には軍事担当が配備済みであることを確認できるからである。これにより前線都市に軍事担当を配備し忘れるなどのミスを未然に防ぐことができる。次に人事担当を政治の高い順に、計略担当を知力の高い順に一通り任命する。外交担当は同盟禁止という縛りの中ではほぼ不要ではあるが、年をまたぐタイミングで将がいなくなって評定を開けないという事態が発生するのを未然に防ぐため、適当に余った一人を任命する。
以上の方針により、軍事・人事・計略の担当を任命しまくっても内政には影響しないため 1,4,7,10 月以外の都市は募兵・訓練や計略を実行し放題となる。さらに定期的に内政を実行するため、その蓄積により自然と自国勢力は都市開発、将の成長を実現できるというわけである。例外があるとすれば、評定の目標を内政に設定した場合で、年後半になっても目標が未達となりそうなときに、臨時で内政を実行するくらいのものだろうか。