三國志Ⅴにおける最強の特殊能力は弓神(騎射)と以前書いたが、ではその次を挙げるとすれば藤甲も無視することができない非常に強力な特性である。この藤甲の特筆すべき点としては、この作品では最も強力な唯一の移動攻撃ができる技である弓神(騎射)に対する有効な対抗手段であることが言えよう。すでに以前の記事で書いたが、藤甲はいくつかの効果があり、なおかつ分かりづらい点もあるので、あらためてここで整理しておこう。
まず藤甲の効果は次の通りである。
・弓矢が効かなくなる。敵の応射や味方の乱射も無効化される。
・防御力が上昇し、物理攻撃の損害を 2/3 程度に抑える。
・水上・沼地以外の場合、火矢・火計で必ず着火する。
・着火時のダメージは大きいが、すべて負傷兵となる。
以上が藤甲の効果である。
検証は iPhone 版で実施した。 Wiki によると藤甲は水上での機動力も増加させるとあるが、少なくとも 3DS/iPhone 版ではこのような効果は確認されなかった。またよく誤解されるが、藤甲は火矢だと大きなダメージを受けるのではない。火矢のうち弓矢そのものによるダメージは効かなくなるが、着火することによって大きな着火ダメージを受ける判定がおこなわれるのだ。したがって、火矢で着火しない水上や沼地に陣取った場合、たとえ火矢で攻撃されてもダメージは 0 となる。また以前に書いた通り、着火によるダメージは大きいものの損害の 100% が負傷兵として扱われる。
このような特性から、応射持ちの敵に射程範囲内から射掛けてもその反撃でダメージを受けない。応射はたとえ火矢持ちでも反撃時には火矢にはならないためである。また味方の乱射が飛んできてもやはり無効化するが、乱射は火矢持ちの場合一定確率で火矢になるため、着火の可能性はある。これも水上・沼地にいた場合地形効果により着火しないため損害の可能性は無くなる。
本作で最も強力な軍事行動は移動と攻撃を同時におこなう弓神(騎射)である。幻術なども非常に強力な技ではあるが、移動と同時に発動することはできないため、敵の近くまで移動して射程圏内に敵部隊を捕らえなければならない。そのため近づいたターンで集中砲火を受けないよう、立ち回りを工夫しなければならない。そこで接敵前から距離を詰めると同時に攻撃をすることのできる弓神(騎射)を最強であると書いた。藤甲はこの弓神(騎射)に対する唯一の対抗手段となる。
藤甲持ちを味方として運用する場合、水神や楼船と相性が良い。なぜなら水軍(楼船)であれば基本的には水上にいるのだから、藤甲のデメリットである火に弱いという弱点を克服することができる。水神があれば敵の水計を無効化するため、ぜひとも組み合わせたい特殊能力である。他に無双や鉄壁、沈着などもあればますます盤石となる。また天変持ちがいれば雨天にして陸上に侵攻することもでき、治療持ちがいればたとえ着火しても負傷兵を全回復できるのでこれまた相性が良い。陣形としては楼船以外に、本来は弓矢に弱い強襲型の陣形とも相性が良い。たとえば密集や錐行である。これらの陣は本来なら敵の弓矢で損害を受けやすいが、藤甲持ちがこれらの陣形を使えば弱点を補えるため強力である。
残念なことに史実の将ではこのようにデフォルトで藤甲と水軍を併せ持つ将は存在しないのだが、諸葛亮が天変持ちであり、南蛮の将に藤甲持ちが多いことから、後半のシナリオの蜀でプレイする場合はこれら藤甲軍をうまく生かして戦うことも現実的である。