トレーディングツールといえば Windows 用のソフトウェアが多く、多くのトレーダーも多数のモニターを備えた Windows を使うというのが比較的多いと思う。そんな中、 Mac を始めとする iOS や GNU/Linux の環境でどのように相場を監視したら良いだろうか。このたびトレーディング環境を整えたのでちょっと書いてみようと思う。

Mac/iPad

まず Mac でのトレーディングツールといえば楽天証券が強い。 iOS で利用できる iSPEED はかなり高機能だし、それと連携して監視銘柄を共有できる MARKET SPEED for Mac もなかなか便利。

楽天証券で発注するかどうかはともかく、監視ツールとしてはなかなか良い感じですね。特に後者の MARKET SPEED はチャートや板も見やすいし、リアルタイムで監視するのにはちょうどいい。

GNU/Linux

じゃあ GNU/Linux ではどうするのかと言うと、ブラウザで動作するツールであるトレーディングサポート J-GX が便利である。 OS を選ばずブラウザでリアルタイムに株価や指数の動きを監視できるのは強みである。

Debian の Chrome で見るとこんな感じ。

特に問題もなく複数の画面で監視をできる。

iPad などのタブレットなどでも動く。

ただ J-GX 自体は無料というわけではなく、月額料金が必要である。もっとも一部の証券会社では一定の取引があれば無料といったサービスを展開していたりするので、それを利用すると良い。

Python

またコードを書ける人間であれば、いちいち人力で株価を監視するまでもなく、計算機を利用してデータを収集・解析する。それこそが一般的に公開されたツールのみで戦う投資家に比べて優位性を発揮する部分であろう。

そのために実に便利なのが Python である。このプログラミング言語自体はそこまで魅力的では無いものの、データ分析にあたり強力かつフリーなライブラリが実にたくさん備わっているのである。

まず Python にはデータフレームを扱う pandas がある。そもそも株価データは時系列な数値データであり、データフレームとして操作するには実にうってつけのデータ形式となっている。株価に特化して言うとテクニカル分析をおこなう TA-Lib やアルゴリズム取引のライブラリである Zipline といったものもある。これらを組み合わせれば、トレードルールを計算機に叩き込み、半自動または全自動で取引することも自由自在にできる。

また様々な数学関数を提供する NumPySciPy といった Python ライブラリは数式をプログラミング言語に持ち込むのに便利で、金融工学を駆使した高度な計算も比較的容易に実現することができる。さらに scikit-learn では、世に知られた代表的な機械学習のアルゴリズムの多くがサポートされている。昨今の流行のいわゆる AI っぽいことも少量のコードで実現できてしまう。また可視化には Matplotlib が使える。これまたマニュアルだけで 1,000 ページ以上という強力な可視化ライブラリで、科学技術計算の世界などでも広く使われている。

株価チャートもこのように描くことができる。この時点ですでに有料ツールを使った場合とさほど変わらない。

これだけのライブラリが Python の世界には備わっているのである。あえて他を選択する理由があるだろうか。

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