環境が整い、本をよく読むようになったのだが、この正月で読んで面白かった本を二冊。
2) 刑罰はどのように決まるか: 市民感覚との乖離、不公平の原因 (筑摩選書 126)
前者は逮捕され起訴されてから実際に懲役刑を受刑した人の体験談。後者は弁護士かつベテラン元裁判官による現代における刑罰というものに対する理論的な考察である。
昨今、センセーショナルな事件が多く報道され、また裁判員制度などで市民が参加する機会が増えた。そういった中で、そもそも刑罰とはどういうものであるか、本を読んで理解しておきたかったのだが、十分にその目的は果たせた。
死刑を除き、どのような種類の犯罪であっても、自由を奪い拘束するという自由刑で臨むというのは、そこにある種の哲学があるように思えた。現代を生きる自由な人間にとって、知能が高ければ高いほど、今日の刑罰は重く感じるような気がする。刑罰というのは社会全体を構成する上で決して目を背け無視することのできない重要な要素であることがわかってきた。
社会の側からは、実質的には社会を管理するという視点で刑が運営されているようだ。ひとつ言えることとして、現代社会においては加害者とならないようにすることが大切である。加害者というのは必ずしも意図してなるものではなく、過失や置かれた環境のためにやむを得ずなってしまうこともある。そもそも人間の自由意志というのは本当に存在するのかというレベルから、犯罪をする側にならないように立ち振る舞うにはどうしたら良いか、考え直す機会を持つことができた。