三國志Ⅴでは特殊能力と陣形が非常に重要な目玉要素とされており、戦場においてはシリーズの他作品で重要とされる能力値よりも、特にこの特殊能力と陣形が決め手となる。
この作品ではどんなに優秀な人物も凡庸な人物も等しく特殊能力を 6 つだけ習得することができるという非常にゲーム要素の強いシステムとなっている。どんなポケモンでもわざを 4 つだけ覚えるのとよく似ている。さらに言うなら、ポケモンはタイプ相性というものがあり、このタイプによって得意不得意があるのだが、三國志Ⅴでも陣形によって防御は弱いが突撃ができる、近接戦は不得手だが弓が遠くまで飛ぶ、攻撃は弱いが防御が堅いなどといったそれぞれの特長があり、ポケモンで言うところのわざとタイプ、すなわち特殊能力と陣形をうまく使いこなすことが肝要である。極論すると、つまり三國志Ⅴはポケモンなのである。
以前、最強の特殊能力をひとつだけ選択するとしたら弓神であると書いたが、では最強の特殊能力の組み合わせは何なのであろうか。まず特殊能力の中でも非常に強力なものを挙げていこう。
・弓神:移動しながら遠隔攻撃することができる騎射の上位互換。位置取りと攻撃を同時にできるのは弓神(騎射)だけ。
・幻術:移動しながら発動することはできず消費体力も 60 と大きいが、攻撃と混乱を同時かつ広範囲に与えることができる。
・藤甲:弓矢を無効化することのできる唯一のスキル。火が弱点とされるが水上・湿地では無効だし陸上で火を喰らっても負傷兵を即回復させれば被害無し。
・仙術:消費体力が 60 と大きいが、すべての部隊の負傷兵を回復させ士気を上昇させ、さらに低確率ながら行動済みの部隊をさらに行動可能にさせることがある。
・天変:晴れまたは雨前提の天気に依存した戦いをするときにほぼ必須。成功率は 9 割。
・火神:火による被害が無効になる、火計・火矢が自動的に延焼する、火の中に入って行動できる。
・水神:水計無効、雨が降ると防御力が上昇。一見地味なスキルだがこれを藤甲と組み合わせると凶悪になる。
・占卜:低確率ながら防ぎようのない落雷を落とすことができる。デメリットをもたらすこともある。
・幸運:占卜よりは幸運のほうがデメリットがずっと少ない。ただし発動するかどうか期待できない。
・沈着:幻術をはじめとするいくつかの計略を一定確率で無効化。幻術の撃ち合いになった場合に役立つ。
・火矢:火のついた矢を撃てる。藤甲対策。
・応射:矢を浴びたとき矢で反撃する。弓神で一方的に削られないための対策。
・遠矢:矢の射程が伸びる。弓神との組み合わせが強力。応射の範囲も伸びる。
弓神はパッシブスキルのため消費体力が無く常に毎ターン強力な行動を実行することができるので最強であろう。また幻術はダメージと混乱を与えるため、後続の攻撃との連携が容易であり一撃の破壊力が極めて強烈でこれもバランスブレイカーなスキルである。組み合わせを考える上で、幻術・弓神はほぼ確定であろう。
残りの 4 枠をどうするかであるが、パターンとしてはふた通り考えられる。
・火タイプ:火神、火矢、天変、幸運、応射、沈着、遠矢、仙術など
・水タイプ:藤甲、水神、天変、仙術、沈着、遠矢、占卜など
つまり晴れ前提にするか雨前提にするかで変わってくる。幻術・弓神と藤甲を組み合わせるなら、自分たちは強力な弓攻撃をしつつ敵の弓矢を無効化できる。雨が降れば藤甲と水神でカチカチに堅くなり火の弱点もカバーできる。その代わり雨への依存度が高く、そのため天変を使える将を必ず複数用意する必要があるだろう。火を喰らったときに備え負傷兵を回復するための仙術持ちもほしい。雨を維持するか水上で戦うならきわめて凶悪な構成である。これを仮に水タイプの雨パーティー編成(雨パ)と呼ぶとしよう。一方、幻術・弓神と火神を組み合わせるのはそんな藤甲部隊への対抗手段である。すなわち、弓神・火矢であたり一面を火だらけにして位置取りのアドバンテージを取りつつ、幻術で混乱した部隊にも火を浴びせる。さらに雨が降ったとしても天変で晴れ状態に戻しまた火矢を撃つのである。火と相性の良い幸運と組み合わせるのにも向いている。雨パと比較すると天候への依存度は多少低く汎用性がある。これを仮に火タイプの晴れパーティー編成(晴れパ)と呼ぶとしよう。
晴れパ VS 雨パの場合、天変の撃ち合いになる。それぞれのターンで真っ先に天変で得意な天候に変更することになるので、雨パは毎回豪雨にして火を消して幻術・弓神で攻撃。晴れパは毎回晴天にして幻術・火矢で攻撃となる。この場合、どちらかと言うと一発で火を全部消せる雨パのほうが、弓神で与えるダメージも大きいし火の損害も回復可能なためやや有利である。雨パ VS 雨パの場合、互いに弓矢が無効のため弓神が意味をなさなくなるので単純な幻術撃ち合いになる。この場合、沈着持ちを混じえていたりすると確率の問題で有利になる。晴れパ VS 晴れパの場合、今度は互いに火が無効のため火矢が意味をなさなくなる。弓神に反撃できる応射持ちを混じえていたりすると手数の問題で有利になる。
このように頂上決戦のようなシチュエーションを考えるとやや雨パ有利かなというところだが、これらはあくまで攻守共に新武将作成で最強チームを構成した場合というような極端なケースを想定したものであり、史実の将兵を相手にするなら晴れパのほうが地形・天候に依存せず火でゴリゴリ敵戦力を削れるため、やや汎用性は高いと思われる。とはいえどちらもチート級の非常に強力な構成であるため、晴れパや雨パみたいなチームを構成したら中華統一はいたって容易、ただのローラー作戦で全土を蹂躙できることだろう。