三國志Ⅴはシリーズで初めて陣形という概念が登場した作品である。歴史上の実際の戦において陣形がそこまで影響を及ぼしたかどうかはともかく、ゲームとしては部隊に様々なメリット・デメリットといった個性を与え、単なる兵力と将の能力値による強弱によらず、駆け引きや戦術を多彩化している。弱い軍でも陣形をうまく使うことで不利な戦を有利に導くことが可能となっているのだ。なおこの陣形は兵器開発によって長所を伸ばしたり短所を補ったりと強化することもできる。
さて、陣形について考察した記事はたくさんあるが、兵器開発による強化後の陣形について考察したものは少ない。そこでまずは最新版である 3DS / iPhone 版における陣形の一覧について掲載しよう。なおこの最新バージョンでは、たとえば錐行の機動力が 24 → 22 に低下、また方円の攻撃力が 2 → 3 に上昇しているなど多少の調整が入っている。バージョンによって多少数値が異なるので注意が必要となる。
上が兵器開発前、下が兵器開発後の数値である。
さて、よくある最強の陣形は何かという問いであるが、単なる兵力によるゴリ押しだけを考えるのであれば、地上では錐行、水上では楼船のみ最低限あれば何とかなる。そもそもこのゲームでは兵数が多ければ多いほど攻撃力・防御力も高いため、あとは移動時の機動力を確保して力押しすれば良いのだ。特に錐行は機動力・攻撃力に調整が入ったとはいえ、逆に言えば調整が入るほど強かったということでもある。防御はやや弱いが、弓矢による遠隔攻撃にだけ気を付けていれば攻撃についてはこと足りるからだ。また兵器開発後の楼船は水上での補正も加わって非常に強力であり、敵側も水軍に熟練していない限り水上戦では無敵の強さを誇る。
ではそれ以外にどのような陣形が使えるだろうか。個人的に使える陣形は以下の通りである。
鶴翼:このゲームでは特に強力とされる囲んで一斉攻撃が使えるうえ、将の体力回復が毎ターン 10 から 20 に増える。すなわち兵器開発後は最強陣形の一角であり、術や計略などの体力消耗の多いスキルを多用する将には欠かせない陣形となる。体力回復を考慮すれば移動のために体力消費 25 の速攻を連発しても問題なし。弓攻撃も地味に強く、防御もそこそこあるため、アクティブスキルを使わないターンは遠隔攻撃に参加することもできる。いくらなんでも便利すぎだ。
方円:守備にはもちろん、攻撃時の壁役の役割をも果たす。方円で敵の移動・攻撃を受け止めておいて、後ろから遠隔攻撃や計略などを仕掛けるというこの手のゲームにありがちなアレである。
雁行:遠隔攻撃のアタッカー用。射程も長く、弓攻撃においては兵器開発前・後共に最強。このゲームの遠隔攻撃は相手が応射か藤甲のスキルを持っていない限りこちらに何ら被害なく一方的に敵を削れるというメリットがあり、その割には火力も十分なため、集中砲火を浴びせればどんな大兵団もたちまち蒸発する。
密集:近接攻撃のアタッカー用。ただでさえ近距離攻撃において最強なだけでなく、連攻も使える。特に速攻から敵の背面を突いて連攻を仕掛けるコンボの威力は絶大で、敵兵を一ターンで一万人位一気に削れることもある。この密集の登場で偃月や魚鱗などは魅力が薄くなってしまっている。火に弱いという弱点は火神スキルがあれば克服することができ、それ以外にも水神持ちなどのいわゆる雨パであれば弱点の火をカバーできる。コンボでいうと炎を掻い潜っての火神・速攻・無双・密集・連攻とか雨天時の水神・速攻・藤甲・密集・連攻とかまさに鬼のような戦闘力である。
反対にどうも地味で使えない陣形としては、偃月、八卦、生者あたりである。また箕形は使いようによっては守備で役立つものの、方円で十分という考え方もある。魚鱗は防御面が脆弱なため、攻撃後に反撃をくらわないような場面、つまりトドメの一撃などに使えば強力ではあるものの、無くても別に困らない。走舸は旧作の水陣に相当する機動力を誇るため移動には便利ではあるが、楼船と速攻があれば十分である。
また山岳型の陣形 4 つについては、あれば永安や陳留などの山・森の多い地形で有用ではあるものの、そもそもこのゲームは山岳中心で平地の無いマップが少ないというか全然無いこともあり、最低限平地型の陣形でゴリ押ししてもどうにかなる。兵器開発後の鈎行、鋒矢などはデメリットが少なく強い陣形ではあるのだが、おのずと優先度は低くなるだろう。
つまり結論を言うと、機動力の高い陣形(主に錐行)と、あとは水上戦の楼船、便利な鶴翼、壁役の方円、遠距離攻撃の雁行、近距離攻撃の密集が強いということになる。