以前、藤甲について考える記事で、史実の将では藤甲と水軍を併せ持つ将は存在しないと書いたが正確には存在する。呉の鍾離牧である。そもそも登場年が 233 年と遅いためメインシナリオの星落五丈原くらいでしか見ることはないが、それでも藤甲・水神・桜船を兼ね備えた将であり弓矢はおろか水上に居れば弱点の火攻めをすることもできないポテンシャルの高い将である。能力値もこの時代にしては比較的高めで成長タイプも 1 と育てやすい。他にも激励、心攻、逆境など有用な特殊能力も揃っている。
・鍾離牧(武力 80 知力 73 政治 65 魅力 71)成長 1 陣形:錐行、魚燐、楼船、特殊能力:激励、心攻、奮迅、水神、逆境、藤甲
この藤甲スキルを保持している将は史実の将では魏の夏侯徳と龐会、呉の鍾離牧と陳表の 4 人を除くと南蛮の異民族に限られトータルでも 16 人しかおらず少ない。この中で水上から射程 3 の攻撃を繰り出せる者は陣形の追加習得を考慮から除外すると夏侯徳、陳表、忙牙長、木鹿大王の 4 人である。仮に射程 2 であったとしても、水上から城に籠城した部隊に弓攻撃を仕掛ければ応射で反撃されても被害がなく、直接攻撃で仕留めようにもこちらも水上に進出する必要があるため難敵である。雨天下の水神は被害を 2/3 に抑え、また藤甲自体も直接攻撃の被害を 2/3 に軽減するため、両方を組み合わせると損兵率は 4/9 になる。藤甲はまさにチートに近い能力であると言えよう。
新武将作成などでこのような組み合わせを設定して水上から籠城した CPU に射掛けた場合、ほぼ無敵の状態となってしまい CPU 側は成すすべもなく一方的に削られていく。このような状態はゲーム性を損ねてしまうため、藤甲スキルを持つ将を新武将作成などで設定するのは禁止にして、史実の将に限定したほうが良いだろう。そもそも現実的には船ごと燃えるだろうし赤壁の戦いでも船を燃やされて曹操軍は撤退しているのだから、水上にいるから着火することが無いという三國志Ⅴの仕様がおかしい気がするが、藤甲はうまく利用すれば非常に強力すぎてバランスブレイカーとなるスキルであることがわかる。