気がついたら歴史的な大暴落が起きていた。
株式市場には 100 年に 1 度の大暴落というのがだいたい 10 年おきくらいにやって来る。前回は 2008 年のリーマン・ショックであった。
株価の下落スピードについてはリーマン・ショックを超えて世界恐慌並み、株価純資産倍率としてはリーマン・ショック並みである。
騰落レシオも見たことのない数字になっており、壊れかけのレシオとなっている。
<なにが起こっているのか>
きっかけは皆さんご存知の新型コロナウイルス COVID-19 が原因であることは間違いない。
市場は最初これを軽視していた。実際のところ、ウイルスによる感染症がいつまでも続くわけはなく、短期的には景気が落ち込んだとしても世界経済の長期的な見通しは現在でもさほど変わらないだろう。
ただ、これは実はトリガーに過ぎず、これをキッカケとしてリセッションの引き金を引いてしまった。もともと各国の中央銀行によって緩和マネーがジャブジャブと市場に流れ込んでおり、低金利による運用難から世界的に長らくカネ余りの状態が続いていた。いわば誰もが他人のカネを借りてレバレッジの効いた運用をし続けていたわけである。それが今回の騒動をトリガーとして突然カネを返せと一斉に言われたようなもので、膨らんでいたレバレッジが一気に縮小して、大混乱に陥っているのが今の状況である。
<暴落はどのようにやってくるか>
過去には、バブル崩壊、湾岸戦争、東日本大震災、リーマン・ショックなど様々な大暴落が市場を襲ってきた。
歴史を振り返ると、大暴落と言ってもいくつかのフェーズがある。
まず最初にほとんど前触れもなくいきなり大きな暴落が来る。このときにはチャンス到来と多くの投資家が買い注文を入れるため、一時的に株価はリバウンドする。
次にパニックのような暴落が来る。狼狽して損切りをし始める者が多数現れ、また機関投資家も現金を確保するために泣く泣くリスク資産を売却せねばならず、機械取引の影響もあって、株価はすごい速度で下がり続ける。新聞やテレビなどのメディアで大きく取り上げられる。現在はこのフェーズの真っ只中だ。
そして長らく焼け野原が続く。出来高は非常に少なくなり売買は盛り上がらない。握力の無い愚か者が諦めの売却をする。メディアも飽きてきて、誰も株の話題をしなくなる。この焼け野原の時代は最低数ヶ月から下手をすれば数年程度と長く続き、だらだらと下げ続けるためここで買うのも難しい。
だが、さらに長期的な視点に立つと、低迷期が永遠に続くことは決してなく、気がついたらいつのまにかまた株価が回復しているものである。
<どうしたら良いのか>
さて、このようなときに我々はどうしたら良いのか。
だいたい 10 年に 1 度は大暴落が来る。これは投資家にとっては避けられない。いつ来るか正確に予想するのは不可能だし、リスクテイクしている以上都合良く暴落だけを回避するのも難しい。したがって、最初からこのような事態を織り込んで、これを想定した運用をする必要がある。
自分の考えは、今までもこのブログで書き続けてきているが、以下の二点である。
優良企業はたとえリーマン・ショックのときにも減配をせず、数十年も増配をし続ける。不況にも負けないビジネスモデルを確立しており、キャッシュ・フローが安定しており、投資家への還元をしっかりとおこなうからである。そのような企業というのは、実はこの日本でも探せばいくつも見つかる。日頃から高配当かつ連続増配をし続ける優良企業に投資をしておくことが大切である。
たとえば配当利回りが 5% なら 10 年で投資資金の 50% も利益として得られる。もちろん、株式を売却することなく得られる利益である。いま市場を見渡してみると配当利回りが 10% 近くに及ぶ優良企業もたくさん見つかる。つまり 10 年待てば配当だけで投資金額がほぼ全額取り戻せてしまうのだ。このような企業の株式は宝である。こういった企業を選別して保有し続ければ、増配によって利回りもさらに上昇し続けるし、ほとんどの場合報われることになる。これは歴史が証明している。
ほぼ無料のような信託報酬で世界中の株式市場を買うことができるインデックス型の株式投資信託がいくつもある。このような投資信託を通して、ひたすら無心に淡々と積立買付をおこなう。ネット証券などでは機械的に自動積立をおこなうこともできるし、最近では、少額投資非課税制度 (積立NISA) などの登場で制度的にも恵まれた環境となっている。
暴落時も淡々と積立をおこなう、いわばドルコスト平均法と呼ばれる手法だが、これによる投資成績が優れていること、これも歴史が証明している。
<というわけで>
このようなときも投資の方針を一切変えることなく、いつもの幸福な日々を淡々と過ごす。これに尽きる。