まーたスマホで少額から投資できる若者向けのサービスと称した情報弱者向けのサービスが出現し、なんとかナビとかワンタップなんちゃらとか散々あるのに雨後の筍の如く似たようなサービスが量産されてなんちゃらペイみたいなスマホ決済と似たような地獄になるのかと思っていたが、こちらの寄稿にあるようにまず投資を始めるにあたって成功体験というのは確かに重要かもしれない。
「長期投資であればあるほど、最初の成功体験は重要。人は儲かっていれば続けるし、勉強もしはじめる。成功体験と勉強というポジティブなスパイラルが生み出されるのが、始まりのこの1年間だと思っている」
自分はどうだったかと考えてみると、よくわからんうちに色々投資していて忘れていて、含み益がだいぶ乗っかった状態ではじめて投資の重要性に気付いたという経緯があったように思う。リーマン・ショックのちょっと前に最初の証券口座を開設していたり、また同じくらいに持株会やら確定拠出年金やらでリスク資産にたまたま投下していて、すっかり忘れてそのままずっと放ったらかしにしていたものが、アベノミクスが始まって数年して数倍程度に膨らんでからようやく気付いたという経緯がある。つまり株式のような長期的に見て成長が期待できる資産は、たとえ途中にリーマン・ショックがあろうとも東日本大震災があろうとも民主党政権のような時代があろうとも、ある程度の年月を経れば概ね年率プラス数パーセント程度のリターンが期待できると、スタート時点から気付くことができていたのだ。このように投資を始めるタイミングに恵まれていたからこそ、ウォーレン・バフェットのように株式を保有し長期間に渡って持ち続けるということができるようになったのである。
ただ、ここで大切なことは「放ったらかしにして、忘れていた」という点であることも見逃せない。
スマートフォンというのは若者は日常的に使っている。スマホで手軽に投資ができて門戸が広がるかもしれないが、株価なんてスマホに表示されたら気になって毎日のように見てしまうだろう。これではダメだ。短期的な視点ではなく、少なくとも数年以上にわたりリスク資産を持ち続けて、企業や経済の成長を見るようにならないといけない。
ウォーレン・バフェットは「郵便が三週間遅れで届くような田舎に住んでいたほうが、優れた運用成績を残せるかもしれない」とか「市場が十年間閉鎖されたとしても喜んで持ち続けられる株式だけを買いなさい」と述べている。この手のスマホ証券アプリが成功するためには、資産の評価額をわざと三週間遅れで表示するとか、一度買ったリスク資産は十年間売却することができないといった、「不便な機能」が無ければ若者を長期投資へ誘導することは成功しないだろう。