歴史イベントで「魏皇帝即位」というのがある。曹操または曹丕が洛陽を含む 12 領以上を統治し、配下に華歆、王朗、司馬懿がいると発生する皇帝即位のイベントである。また「九品官人法制定」というのもあり 220 年前半に曹操または曹丕が 12 領以上を統治し配下に陳羣がいると発生する。ところが以前に書いた君主を変更する機能を利用する場合は要注意だ。たとえば三国鼎立のシナリオで開始し曹丕を曹操の代わりに君主にしてプレイすると、前述の条件を満たしているにも関わらずイベントが発生しないのである。曹操が生存しているとダメなのか、そもそも君主変更機能を利用するとダメなのか検証が面倒でやっていないので不明だが、史実に忠実にプレイしたほうが歴史イベントの消化には向いているようだ。もっともよく考えれば曹操は歴史上皇帝になっていないし、曹丕が皇帝になるほうが史実に則っているようにも思えるのだが、ゲーム的にはイレギュラーなことをしているという扱いになるのだろう。

さて曹丕といえば人格がちょっとばかり捻じ曲がっていることで有名ですが、その生い立ちを考えれば無理もないという見方もできる。もともと彼は嫡子ではないし、三十人以上いる数多くの庶子のひとりに過ぎなかった。兄弟には文才溢れる優秀な曹沖や曹植がいたし、劉夫人の遺児であり異母兄の曹昂や曹鑠が早世したこともあり、棚ボタ的に嫡子になったようなものである。父親はめちゃめちゃ優秀な歴史的英雄であるし、劣等感が無いわけがないのである。劣等感というのは諸刃の剣だ。父親も祖父が宦官であるという劣等感から儒教を否定した結果、合理主義・現実主義を徹底することにより一代で巨大な版図を制圧したが、これも言ってみればたまたまであり、途中には何度も命を失いかけることも多々あった。曹丕は彼なりに父親をものすごく尊敬していて、たとえ墓を質素にしろという遺言を受けて金玉珍宝の類いを墓に埋葬しなかったとしても、質素ではあっても丁寧に葬られているし、墓陵を作らないわけにはいかないだろうと曹操と卞皇后、おそらく劉夫人の遺体を埋葬し建物を地上に建築したようである。有名芸能人やスポーツ選手の子を見てもわかるが、親が偉大すぎるというのは子にとっては多大なプレッシャーとなるものだ。まず、ほとんどの場合、親は越えられない。なぜなら偉大な存在というのは往々にして時の運も味方したものであり、役満を偶然に和了したようなものだからである。単に子というだけで親を越えようと思ったら半荘でダブル役満を和了しなければならない。これはとても確率が低い。二世というのはツライものなんですよ。本当は素養としてはそれなりに優秀だったのかもしれないけど、何はともあれ早世したので結局のところ評価は定まらないままですね。

話は若干飛ぶが司馬昭は優秀なサラリーマンである。傀儡皇帝の曹髦が乱を起こしたとき、子飼いの賈充は誰も罪に問わないからという理由で曹髦を殺害させたが、多くの腹心の反対を押し切って殺害を実行した成済兄弟のみを三族皆殺しに処して賈充は無罪にしてしまった。普通に考えれば腰斬刑ですね。まあそうなると司馬昭も有罪なのでどこかで矛盾がある。サラリーマンの世界もどこかに矛盾があり、無理矢理落とし所を見つけなければならないこともある。皇帝を死なせた司馬昭は、帝が皇太后を害しようとしたため殺害されたと理由をつけて事態を収拾しようとした。そういうところである。実行犯に全責任を押し付け、自分は知らんというのは、なかなかに悪徳である。司馬昭も言うなれば魏の優秀な将軍である司馬懿の二世なのだが、どうやら悪の世界では二世でもやっていけるらしい。というか悪辣に徹するというのは麻雀と一緒で理知的というか智謀がすべてみたいなところがあるので、なんとかなるのだろう。ま、後世の人が聞いて良い気分がするものではないですが、彼自身としては自分の時代を器用になんとかうまく生き抜いた結果なんでしょうな。

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