前回、強化陣形についてあらためて考察したわけだが、ここであらためてそれぞれの陣営における陣形ごとの強化有無の理由について深堀りしていきたい。三國志Ⅴにおいては陣形は大きく平地型・山岳型・水上型の三種類に分類される。それぞれ中原を平定した曹操、漢中・巴蜀の天然なる険阻の地に拠った劉備、江東に割拠し赤壁の戦いで水軍を率いた孫権、それぞれ平地型・山岳型・水上型の陣形を強化することで各陣営の個性を強調することができる。そこで前回の説明では曹操軍は平地、劉備軍は山岳、孫権軍は水軍の陣形をエディット機能により既定で強化するのが良いと書いた。このうち曹操陣営については平地型の陣形の数が多いため、すべて強化するのはやりすぎであり、強化騎兵(錐行)、衝車(魚鱗)、軽装鎧(偃月)、強化長弓(雁行)、軽弓(八卦)の五種類を強化するという案を挙げた。ではあらためて、その五種類を選択する理由を考察してみよう。

上の表は強化騎兵(錐行)、衝車(魚鱗)、軽装鎧(偃月)、強化長弓(雁行)、軽弓(八卦)の五種類のみを強化した場合の陣形一覧表である。今まで何度も触れている通り、兵器開発による効果には大小の差があるため、慎重に一部の陣形だけを既定で強化することで陣形同士のバランスが取れると考えている。陣形は一長一短があり、どの陣形を採用するか場面ごとに悩むようでないとバランスが取れているとは言い難いのである。ではここで、あえて強化の対象としなかった陣形について考察してみたい。

箕形:この箕形と鈎行は減らされた兵士の生存率を最大で 90% まで維持できるためもともと非常に有用な陣形である。負傷兵は戦が終われば回復するのだから、箕形持ちで前と側面から攻めさせて最後に背面から突撃をするといった方法で包囲効果を最大限に発揮した戦法を取れるのである。それ以外にも、敵の攻撃を一発受け止めるための盾役として先鋒にしたり、治療スキルで無限回復しながら敵部隊を消耗させ続けるゾンビ戦法など、色々な活用法がある。この陣形を強化するとただでさえ有用なこの陣形が方円の陣に迫るほど堅くなり、さらに負傷兵回復効果まで付いてくるということで、他の陣形と比較した場合に有用になりすぎてしまうのである。

鶴翼:体力回復速度が二倍になるというのはぶっ壊れだというのは過去に何度も書いているが、これは非常に判断が難しい。派手な幻術や仙術スキル二連発などが強いというのは言うまでもないが、問題となるのは比較的体力消費の少なめのスキルを無尽蔵に連発できてしまうということである。たとえば速攻スキルは 25 消費するはずが毎ターン 20 体力が回復するのであれば実質的な消費は 5 にしかならない。つまり鶴翼プラス速攻スキルを連発すれば錐行の陣と同様の移動ができてしまう。実質消費が 5 なのであれば 10 ターン以上連続で速攻なんてことも出来てしまうのである。また天変スキルは 30 とその効果に対し消費が控えめである。これが鶴翼の陣と組み合わせると実質消費 10 で天変スキルが使えてしまうので、これまた 8 ターン連続で天変なんてこともできてしまう。鶴翼プラス天変持ちがもし二人もいたら、無限に天変し続けることもできてしまうのである。どう考えてもぶっ壊れであろう。また軍師または陣立スキルを持つ将の場合、体力消費スキルを発動するターンのみ鶴翼の陣にするといったケチくさい戦法も大いに有用になってしまう。兵器開発後の鶴翼の陣は防御も上昇し目立った弱点も無くなってこれなのだから、アイテムを与えるにも鶴翼の陣を使える将を選びがちになったりなど偏りが発生し、戦場でもスキル持ちが鶴翼だらけになったりするので見苦しい。やはり封印するべきだろう。イベントで兵器開発可能だが、幸いなことに非常に難度の高いイベントなので、開発手段があったとしてもバランスとしては許容できる。

方円:これはすでに散々書いた通りだが、ただでさえ防御が最強でなおかつ側面・背面効果を無効化できる要塞である方円の陣は、守りを固めながら敵に計略を仕掛けたり、盾役となって壁となりつつ後ろの部隊から集中砲火を浴びせたりなど非常に有用な陣形である。これに加えて雁行の陣に匹敵する遠距離攻撃能力を獲得するというのは論外であり、完全に雁行の陣の上位互換になってしまう。雁行も相当に強力な陣形であるのにそれの上位互換となってしまうのでは、陣形に一長一短がありどの陣形を採用するか悩むのが理想というバランスの観点から言って、まったくもって許容できない陣形強化であると言える。これは普通にプレイしていても最も期間と資金が必要な兵器開発であるので強力なのは当然なのだろうがあまりにも強すぎる。

密集:まずこの追加された密集の陣というのがやたらと強力な陣形である。攻撃力については安定しており、その分明確に弱点も設定されている。すなわち、無陣と同じレベルで弓矢に弱く、火でも追加ダメージを受けるということである。ところが火の追加ダメージは以前も書いた通りすべて負傷兵扱いだし、兵器開発後は弓矢にも多少強くなるし攻撃力は最強になってしまうのでこれはやりすぎである。他の近接戦闘用の陣形である偃月や魚鱗とのバランスが取れないといけないので、密集の陣を既定で強化するわけにはいかない。余談だが密集の陣と藤甲スキルを組み合わせるとこれまた滅法強いので厄介である。

生者:これは回復専用の陣みたいなものであるため強化しようがしまいがどうでもいい。兵器開発によって回復量が上昇するとか防御が堅くなるとかであれば意味があったかもしれないのだが。

平地型の陣形のバランスについての考察は以上であり、このあたりで陣形の採用に迷うかなという微妙なところでバランスを取っている。山岳型と水上型はそれ自体が特徴のある地形特化の陣形なので、劉備陣営と孫権陣営についてはそれぞれ既定で全陣形強化で良いだろうというところである。

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