三國志Ⅴでは没年が明示的に設定されている近年の作品とは異なり、人物の寿命が内部的に 0 から 7 の 8 段階で大雑把に設定されている。このため多くの将が史実と比較すると長めに生きる結果となる。後半のシナリオである三国鼎立では曹操や劉備、蜀漢の五虎大将軍など主要な人物が史実より長生きするため、中華統一まで寿命の心配は要らないことが多い。三國志Ⅴでは普通にプレイしていると大抵の場合、史実と異なり歴史イベント「魏皇帝即位」では曹丕ではなく曹操が皇帝になる。曹操の寿命値は 6 であるため史実では 220 年に 66 歳で没しているがゲーム上は 220 年代後半、年齢にして 70 代前半頃まで活躍できる。何度かプレイしてみると大体 226 〜 230 年頃に寿命を迎えることが多いようである。

史実より長寿とはいえ、じっくりプレイしていると君主の代替わりが発生することになる。これに備えて後継者候補も考えておく必要がある。そこで今回は三國志Ⅴでの曹操の後継者について考察する。

今回の例では 227 年末に武帝・曹操が崩御した。

曹丕
後継者として第一候補に挙げられるのは史実通り魏の文帝こと曹丕であろう。

曹丕は守備に向いた方円の陣こそ無いもののアイテム倉庫役の君主として有用な鶴翼の陣を持ち、これに雁行・八卦の陣と応射・遠矢・火矢もあるため遠距離戦闘に長けている。自身は城に籠もり周囲に護衛を付けて本拠地を防衛するのであれば曹操以上に適性がある。さらにアイテムの宝雕弓があれば弓神も加わり純粋にかなり強くなる。他にも無駄の無い特殊能力が揃っており使えないものも無いため、実際には能力値以上に有能であると言える。魅力については曹操から引き継いだアイテムの玉璽で 100 になるため考慮の必要が無い。

君主の代替わりは対応方法があるとは言え、それまで褒美などで高めていた多くの将の忠誠度 100 が崩れてしまい、これを元に戻すのは大変な労力となるためなるべくなら無いほうが良い。すなわち君主としての適性は何より寿命の長さであるという考え方もできる。そういう意味では曹丕の寿命値は 1 であり、史実では 226 年に 40 歳で没しているのに対しそれより長く 230 年代後半、年齢にして 50 歳頃まで生きるとはいえ、寿命に関しては不安がある。もっとも三国鼎立シナリオでは 219 年スタートでありゲーム開始から 20 年近くも経過しなければ崩御しないため、曹丕の代においても中華統一まで至らないというようなことはほとんど無いと言えるだろう。そういう意味では安心して曹丕を後継者に指名すれば良い。

曹叡
前述の曹丕では寿命がやや短いということで、これを対策する案として曹操の後継者に曹丕の代を飛ばしていきなり孫の曹叡に継がせるという案もある。史実では曹叡は魏の二代皇帝・明帝であり、前述したように曹丕ではなく曹操が魏の武帝として登極するのだからここで二代目となるため、ある意味ここで史実に合流することができる。

こちらは鶴翼の陣があるくらいで、世襲で後継者になっただけの能力的には足りない幼帝が即位することになる。曹叡自身の寿命値も 0 であるが元々が若いため年代にして 250 年手前まで生きる。プレイ開始から 30 年も経過するというのは意図してやらない限りそこまで長期のプレイにならないため、君主の代替わりをどうしてもさせたくない場合の選択としては有効である。十分に選択肢に入るだろう。なおメインシナリオの星落五丈原では初期状態で魏の皇帝である。この場合 234 年スタートとなり、中華統一が遅いと崩御することがあるため寿命には多少気を配る必要がある。

曹宇
意外な候補者として曹操の側室である環夫人の実子である曹宇が挙げられる。曹操が溺愛したものの夭折した曹沖の同母弟であり、曹叡とほぼ同世代ながら実子かつ長寿ということで曹丕の代わりに後継者にするという案である。

曹宇は三國志Ⅴでは比較的能力値が高めに設定されており、史実でも西晋成立後まで生きていたため寿命が非常に長く 260 年代後半まで生きる。また鶴翼・方円の陣と鉄壁・強行・速攻などが使え、君主としての適性がある。したがって十分に選択肢として有効である。欠点を言うならゲーム的には以前書いた通りどういうわけか曹魏勢力ではなくその他勢力という扱いになるため、曹宇が君主になると雷龍撃砕が BGM として流れない。もっともこれは設定画面から専用 BGM を設定すれば解決する問題ではある。また曹宇の子の曹奐は史実でも即位しており曹魏勢力という扱いになるため、最終的には史実に合流することができる。なお子の曹奐は三國志Ⅴのゲーム中、最も後の時代まで生きる人物でもある。

曹植

正室である卞王后の子であり、曹丕と並んで後継者候補に名の挙がった兄弟である。もし曹丕ではなく曹操にその才能を愛された弟の曹植が後継者だったらというシナリオで史実の if としてプレイすることもできる。

史実では 232 年に 41 歳で病没しているが、例によってゲーム上ではどういうわけか年代では曹叡と同時期の 250 年手前、年齢にして 50 代後半あたりまで生きるので、寿命については曹叡に継がせた場合とほぼ同程度ということになり申し分ない。前述の BGM 問題でも正当な曹魏勢力として扱われる。また一歩間違えれば後継者が曹植だったかもしれないという点で、ある程度史実に沿った説得力もあるだろう。ただもともと軍師としての資格があるのに君主にするのは勿体無いという点と、武力の低さから君主としての適性がさほど高くはない。鶴翼の陣と沈着・心攻があるくらいで、どちらかというと曹叡と同じように内政に専念する君主となるだろう。万が一本拠地が侵攻されて防衛戦となった際にはしっかり護衛を付けて安全な場所に布陣する必要がある。ただ知力 90 台で冷静も最高値の 7 かつ沈着・反計持ちということで敵の計略に対しては滅法強い。挑発や混乱を受けにくいという観点では意外と君主にふさわしいのかもしれない。

曹彰

曹丕・曹植と同じく正室である卞王后の子。

能力値は猛将だが曹丕にやや似たスキル構成となっている。ゲーム上は曹彰は曹丕よりさらに早世するため、わざわざ曹丕ではなく曹彰に継がせる理由はあまり無いと言わざるを得ない。

以上、まとめると素直に考えれば曹操の後継者は曹丕だが、飛ばしていきなり曹叡に継がせたり曹植や曹宇を指名する案もある。寿命については極端な長期間プレイをするのでも無い限り曹丕の代には中華統一が叶うだろう。長寿であることを最優先にするなら能力やスキル的にも恵まれた曹宇が候補者として適格である。

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