三國志Ⅴに限らずこの手の歴史シミュレーションゲームには主に 2 段階のフェーズがあると考えている。

・前半:弱小勢力または群雄割拠の状態から一大勢力として台頭するまで
・後半:一大勢力として地盤を固めたのちに残党を滅ぼし名実共に統一へ向け動き出す

前半を楽しいと感じる人が多いように思うが、自分の場合はどちらかというと後半の、盤石な勢力を築いて人材・国土・兵力を整えてからゆっくりと賊を討っていくフェーズが好みである。人によってはゲームとして見たら基本的に番狂わせは無いのでただの作業でつまらないと感じるのかもしれないが、自分の場合は一大勢力を築いてから人材を集め国土を豊かにして徳政を敷き、無敵の軍団にて蛮夷を討伐するのが楽しみである。

では三國志Ⅴにおける前半後半の境界はどのあたりにあるだろうか。三國志Ⅴでは前線の都市を回避して後方の都市を侵攻する方法は無い。また都市の隣接数は他シリーズに比較すると決して多くはない。そのため勢力が拡大しても最前線の都市数を 3 から 5 程度に抑えることが可能である。したがって最大勢力となっても防衛ラインの構築に成功できた場合、あとは年月が経過すればするほどどんどん自勢力が盤石となり優勢となってくる状況となる。

まとめると自勢力が以下のような状況になるときが分水嶺となる。

・兵力、人口、物資、生産力、人材、そして名声などいずれにおいても最大勢力である
・前線都市に十分な将兵が配置され防衛ラインが構築されている
・年月の経過と共に形勢優劣がますます濃厚となっていく状況である

たとえば以下の例では 200 年スタートの官渡の戦いにて曹操がライバルの袁紹を滅ぼし最大勢力となった状態である。敵と隣接するいわゆる前線都市は長安・襄陽・寿春・新野・下邳の 5 都市のみ。これらの都市に将軍・軍師・兵力を集中させることで防衛ラインが構築される。また人口が多く生産力の高い大都市である洛陽・長安・許都・南皮・襄陽などを擁しており国土の豊かさでも圧倒的。曹操勢力で司馬懿・関羽・趙雲などのトップクラスの将も揃っており人材の質・量もナンバーワンである。まだまだ孫権・劉表・劉璋・馬騰などの敵勢力は存在するものの、ここからはいわゆる後半のフェーズであり、じっくりと内政をしながら賊を征討していけば良い。

見ての通り、これは史実の魏の領土にかなり近い。前線である長安は前漢の首都であり斜谷関と潼関を抱える西の要塞である。寿春・下邳の 2 都市を挟んで孫権の守る呉の地に対峙しており、この地を侵攻するには水軍が必要な難攻不落の都市が多い。陸路を中心とした江東の攻略については以前に書いたものの、孫権と雌雄を決するために自ずと全軍に号令せねばならないだろう。つまり寿春・下邳も魏の東の前線である。襄陽は人口が多く肥沃な土地であるだけでなく諸葛孔明が在野に潜む地でもあるため、未登場の場合いち早くこの都市を自国領として抑えておく必要がある。また新野は襄陽と河北を結ぶ大動脈であり死守する必要がある。つまりこれらの都市が魏を形成する前線の境界であると言えよう。

史実通りにプレイし新武将のような三國志以外のオリジナルの将や追加の将も登場させずエディット機能なども一切使わずプレイした場合、だいたいこのようなフェーズを迎える頃には名声が 700 を超える程度になるだろう。名声が 700 になると命令書の数が 6 になり一度に命令できるコマンドの幅がだいぶ広がってくる。内政を充実させ人材を収集し軍備を整えていけばいずれ最大勢力としての地位は揺るぎないものとなっていくだろう。そして帝の勅使による奉納イベントが起こるのもこの頃であろう。

奉納イベントでは帝から内密の使者が来るため、これを謁見する前に隣接する空白地があれば将を派遣して埋めたり侵攻可能な敵勢力都市があれば攻略するなどして少しでも領土を拡大しておいたほうが良い。なぜならこの歴史イベントは民の忠誠度がそれぞれ 10 上昇するため、事前に少しでも領土を広げておいたほうが効果が大きくなるからである。このイベントを通過すると名声も大幅に上昇することになるため、ここからは些か趣味的なプレイも楽しめるようになるというわけである。大いに楽しむと良いだろう。

投稿日: 作成者: 774