三國志Ⅴでは都市ごとに農業開発の上限、商業振興の上限が設定されており、開発によって内政値を高められる限界がある。それぞれの内政値の上限は次の通りである。

なお三國志Ⅴの都市マップについては以前にも掲載した通り以下のようになっている。

地理を見るといろいろおかしい点がある。たとえば鄴と南皮が隣接しておらず冀州がなぜか分断されてしまっている。許昌と宛が隣接しておらず代わりに洛陽と宛が隣接しており許昌より洛陽のほうが三国の前線に近いため樊城の戦いで関羽を恐れた曹操が豫州潁川郡の許から洛陽への遷都まで考えたという史実と合致しない。このあたりの位置関係は近年の作品のほうがより正確である。三國志Ⅴの地図は史実上の漢代の地方制度と比較しても、大まかにはあっているものの細かい点では相違がある。たとえば州、郡、県が混在している。また司隷豫州冀州兗州徐州青州荊州揚州益州涼州幷州幽州交阯の 13 州のうち交阯いわゆる交州はなぜか登場しない。近年の作品では士燮が統治する交阯のあたりは、士燮が三国志演義にも登場せず、現在のベトナム北部付近であることからカットされたのだろう。

人口も続漢書・郡国志の戸数・口数と比較するとゲーム内では人口がかなり少なめに設定されている。これについても史実通りに設定すると魏が大幅に有利になってしまうのでゲームバランスを考慮した結果であろう。人口が少ないのは実際の戸籍上の戸数・口数ではなく統治対象となる生産人口であると解釈しても良いだろう。また人口の配分が気になるならやや面倒だがエディット機能で編集する手もある。

効率的な人的戦力整備をするにあたっては各都市の人口も把握しておく必要がある。なぜなら都市の人口が多いほど募兵・徴兵によって集まる兵の数も変わり、人口による影響は非常に大きいからである。当然ながら大都市で募兵をしたほうが効率が良く、また武力が一定以上の将をひとつの都市に集めて訓練・士気を高めていったほうが効率的である。そこで敵勢力と隣接した前線ではなく後方都市のほうが敵に人材引き抜きを仕掛けられないという利点がある。

このような軍事拠点を設けるのは農業値の高い都市よりも低い都市でおこなったほうが良い。なぜなら金収入は都市の人口が影響しない反面、米収入は都市の人口にも影響を受けるからである。農業値が高い都市を軍事拠点とし募兵を繰り返してしまうと生産人口が激減し米収入に影響してしまう。そこで農業値があまり高くない都市で募兵することにより、農業生産人口の減少を防止するのである。

というわけで農業値の高い順に表を並び替えてみる。

見ての通り、肥沃な土地というのは必ずしも都会とは限らない。汝南、平原、陳留、徐州、新野、許昌、上庸は州都でもないのに農業値は最大で 800 以上である。呉、宛、西涼、江夏、弘農なども農業値が高く、州都でも州自体が地方と言える下邳、北海、晋陽なども貴重な農業生産拠点である。

これに対し、長安、洛陽、漢中、南皮などは人口が多い割に農業値がそこまで高くない。このような都市で募兵するのが良いだろう。たとえば曹魏勢力の場合、前線から遠い南皮は軍事拠点として人民を集め精兵として鍛えるのに適した都市であると言える。ここの生産人口が減少しても全体の米収入に対する影響は小さくて済むからである。領土が拡大したならば洛陽や長安なども候補地になる。

なお参考までに商業値の高い順に表を並び替えると、いわゆる都会と思われる都市の商業が盛んなことがわかる。

こちらのソート順はまさに都会順といったところである。

肥沃な土地を持つ都市の人口はできるだけ増やし、農業値は高くないが人口は多い都会で募兵をするのが効率良いというわけである。

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