三國志Ⅴの特殊能力については今まで何度も書いてきたが、一部の特殊能力については対処法をきちんと理解していないと対応の難しいものがある。もっとも CPU はそこまで賢くないので何も考えずにプレイしても差し支えないのだが、仮に対人戦があったと仮定すると、組み合わせ次第では詰んでしまう状況というのも想定される。今回は特殊能力の対処について考察する。
<猛獣>
実は最も対処の難しい特殊能力のひとつが「猛獣」である。消費体力は 40 で 3 マス以内にいる部隊に猛獣で攻撃でダメージを与え、対象部隊の訓練度が低い場合混乱することもある。沈着などのスキルで回避・軽減することもできず、発動条件についても自部隊が森か山にいるだけという比較的簡単な条件である。仮に城や関の 3 マス以内に森や山があった場合、そこから猛獣で防衛部隊に対して何度も攻撃を繰り出すことが可能となる。幸いなことに、この猛獣スキルを保持している将は史実の将では魏の孫礼と呉の陳表を除くと南蛮の異民族に限られトータルでも 17 人しかおらず少ない。そのため普段は余り見ることは少ないのだが、無効化する方法が無いなど有効な対処法が存在しないという点で非常に厄介である。防衛時の注意点としては、森や山が近い城や関に籠もる場合は猛獣スキルを持つ将を早めに撃破する、後方からの「挑発」で無力化するといった方法が考えられる。また訓練度は常に 100 をキープするなど前線の兵力管理に注意することが肝要だ。
<威風>
3DS 版以降の「威風」は一定確率で周囲 2 マス以内の敵部隊の士気を下げ兵士を減らすスキルである。勇名・武力が高いほど成功しやすいため、たとえば三国鼎立の蜀などを敵に回すと威風をよく食らうことになる。ゲームのシステム上、どうしても敵の猛将を複数の自部隊で包囲するというシチュエーションは多くなるため、ここで威風を食らうと兵を減らされたばかりではなく士気まで下げられてしまい厄介である。これも沈着などのスキルで回避できないため、威風持ちを包囲するにあたっては意識しておく必要がある。対処法としては、なるべく弓矢などで威風の射程外である 3 マス以上離れた場所から削っていく、「挑発」で無力化する、消費体力が 60 と大きいので「潜入」で敵将の体力を削るといった方法が考えられる。また兵の士気は常に 100 になるようにキープし、「激励」スキルを持つ将を戦場に連れて行くのも良いだろう。威風を食らったらすかさず激励を発動し、たとえ兵は減らされても士気は 100 をキープするのである。
<落石>
地味に厄介なのが「落石」である。落石を持つ将は 55 人と比較的多く、発動条件も城や関に籠もっているだけ、回避・無効化するスキルが無いといったところが厄介な点である。攻城戦の際には城や関に籠もっている将が落石スキルを持っていないか常に確認すること、持っている場合はなるべく弓矢などの遠隔攻撃で削っていき、トドメは魚鱗の陣などで突撃して一気に仕留めるといったことが求められる。きちんと注意していれば落石を食らうのは回避できる。要するに慎重なプレイングをしなければならないということである。
<落穴>
こちらは明確な対処法があり、「探知」スキルにて罠を解除・察知することができる。ところが落穴スキル持ちは 72 人と多く、これに対し探知スキル持ちは 32 人と少なめである。またそもそも落穴の存在を見落としやすく、忘れた頃に落穴にはまってダメージ・混乱を受けてしまう。侵攻時に敵軍に「落穴」スキル持ちがいないか必ずチェックし、いる場合は「探知」持ちに先陣を切らせるなど、やはり慎重なプレイングが求められる。「探知」は非常に地味なスキルだが、もしこのスキルを持つ味方がいないと落穴には対処できないという点で厄介である。
<火矢・火神>
火神持ちが放つ火は自動的に延焼し広範囲に火が燃え広がる。これと火矢を組み合わせると思わぬ範囲にまで火が広がるため注意が必要である。対処の方法としてはこちらも「火神」スキルで対抗するか、「天変」スキルで雨を降らすといった方法が考えられるが、どちらも通常のプレイでは希少なスキルである。幸いなことに火神と火矢の両方を持つ将は周瑜、陸遜、黄蓋の 3 人しかいない。いずれも呉の将である。地形に水が多いため、火を回避して水に逃れること自体はそう難しくない。そこをすかさず水軍で追撃されてしまうことが問題だが。
<占卜・幸運>
理不尽極まりない特殊能力で、敵がこれらのスキルを持っていると一定確率で落雷により甚大なダメージを受けてしまうことがある。他にも敵の全部隊に出火や、敵将が大怪我をする、敵部隊を退却させるといった効果もあり、これらを防ぐスキルが存在しないため防ぎようがない。出火については「火神」持ちはダメージを免れるものの、落雷は大ダメージな上に回避方法も無いため理不尽極まりない。大怪我については、計略や術を行使する将がこれを受けてしまうと体力が無くなってスキル発動不可になってしまうので困りものである。また敵部隊の退却といった効果も貴重な戦力を減らされてしまうので非常に厄介だ。発動は一定確率でランダムであるためまさに運ゲーである。占卜・幸運持ちが敵軍にいたらなるべく早く撃破する、捕らえたら問答無用で処刑するといったプレイングが望まれる。これも後半の蜀の勢力では劉備、諸葛亮などが幸運・占卜を持っており、彼らは兵数も最大数の 20,000 人で陣形も方円の陣であったりするため迅速な撃破も難しく難敵である。
<弓神・応射>
ただでさえ移動しながらの射撃が痛いのに、こちらから弓を射掛けても弓神の乗った反撃を受けてしまうため、結果的には損害の方が大きくなってしまう。具体的には黄忠や呂布が該当する。このうち呂布は密集の陣で構えることが多く、挑発も通りやすいため、まだ対処しやすいと言える。黄忠は遠矢スキルも持っており、射程範囲も最大の 4 マスであるから射程外から射掛けることもできず、遠隔攻撃で削るのは難しい。対処方法としては平地に誘い込んで雁行の陣に対して突撃を繰り返し速攻で仕留めてしまうのが良い。ただ対人戦だとするとそう簡単に部隊が孤立してくれず、鈎行の陣で城や関に籠もるといった状況も想定されるため、これを攻略するのは至難の技だ。魚鱗の陣で突撃をかけるか、応射されても損害を受けない「藤甲」持ちで囲むといったことが考えられる。また黄忠には低確率ながら「挑発」が通ることもあるため、射程外から挑発を仕掛けるのも手である。なんにせよ、ある程度こちらの損害が発生することも覚悟の上で挑まなければならない。このように厄介なので、よほど兵力に余裕がある状況でもない限り、劉備や諸葛亮と並んで黄忠も捕らえたら即刻処刑する候補に入るだろう。
<藤甲>
これまた厄介である。火に弱いという弱点はよく知られているが、システム上は水上・沼地では着火することが無いため、桜船の陣や水神スキルなどと組み合わせれば水上ではまさに無敵の強さとなってしまう。史実の将ではそのような組み合わせは存在しないものの、対人戦を想定すると新武将作成にてこのような将を作成した場合、特に注意せねばならない。多くの都市で城や関の近くに水や沼地があったりするので防衛都市の地形には気をつける必要がある。たとえば洛陽は以前も書いた通り南方からの侵攻に対しては函谷関と虎牢関という 2 つの関で無敵の防衛力を発揮するものの、河北の鄴・晋陽から水軍で洛水を南下して侵攻された場合は、河川にいる藤甲部隊から一方的に弓矢や術などの攻撃を食らうことになってしまう。もしこのような将が敵にいる場合は、水や沼地が少ない都市に誘い込んで「天変」スキルで晴れ状態を保ちながら「火矢」を射掛けて迎撃するといった工夫が必要になる。地形に依存するという点で対処に苦慮するスキルであろうと思われる。