前回の記事の最後に少し書いたが、本作では君主の扱いはそれまでの過去の作品と少し異なっている。ここであらためて、三國志Ⅴにおける戦争の勝利条件についておさらいしておこう。
・君主の部隊を撃破または退却させる
・敵の全部隊を撃破または退却させる
・侵攻側が城を全て陥落させる
・防衛側が 30 日間持ちこたえる
以上である。
ここで過去作にあった攻撃側の総大将や守備側の太守といった概念が無いことに注目する。本作には大将という概念が無いのだ。つまり君主を除いては、この部隊を殲滅すれば勝利になるといった存在がなく、援軍を除くすべての敵部隊を殲滅せねばならない。ところが君主が戦場にいる場合、君主の部隊が敗退した時点で戦争が決着してしまう。
さらに特筆すべき点として、本作ではたとえ君主の所在する都市が攻められたとしても、必ずしも君主が自ら出撃する必要は無い。侵攻側、防衛側共に原則として 10 部隊までしか出撃できないが、この中に君主自らを含める必要性は無いのだ。
となると、君主が戦場に赴くことは、殲滅されると即敗北に直結する弱点となる部隊を戦場に送り込むことになる。ということは、特別な理由が無い限り、君主が自ら戦場に赴くのは避けたほうが良いということになる。それはたとえ君主が所在する本拠地が侵攻された場合においても同様である。
では親征、つまり君主自ら戦争に自ら軍の指揮を執り戦争に出ることの理由とは何であろうか。だいたい次のようなものが考えられる。
・自勢力の戦力が十分ではないため、軍師や将軍の数が足りておらず、親征をせざるをえない
・防衛都市の戦力が十分ではないため、君主も防衛に参戦するべきである
・戦力は十分だが、曹操や孫策や呂布のように君主自身が他の配下と比較しても突出して優れた能力を持っている
本作においては君主および軍師は最大の兵数 20000 人を統率することができ、また陣形を即時変更できるというメリットがある。つまり軍師と同じ扱いになるということだ。したがってたとえば能力の低い劉禅が戦場に赴く代わりに諸葛亮を出撃させたほうが良い。ところが勢力全体ですでに将兵が欠乏し、どう考えても戦力が足りないならば親征するしかない。逆に言えば、自勢力が十分に強大であるならば、配下の軍師や将軍を集めて出撃し、君主は後方の安全な本拠地に居たほうが良いのである。
また仮に本拠地が侵攻されたとしても、優秀な軍師や将軍の数が足りているのなら、配下だけで防衛したほうがより有利となる。
ただ、ゲームシステム上はそうであっても、君主が直轄する本拠地が侵攻されているのに君主自身が防衛戦に参戦しないのは不自然だし面白くない。そこで今までの縛りに加えて、本拠地が侵攻された場合は必ず君主が参戦せねばならないというルールを追加することにしたい。
これにより縛りルールは次の通りとなる。
・セーブ・ロードの試行禁止
・遺恨を持つ将を残して統一するのは禁止
・同盟禁止
・本拠地を侵攻された場合、君主は必ず参戦せねばならない
なお CPU は君主直轄の都市を侵攻された場合、ほぼ例外なく君主を参戦させてくるようだ。したがってこの縛りはフェアと言えそうだ。また、自ら防衛しなくとも配下だけで事足りるほど国力が充実しているなら CPU はそもそも本拠地に攻め込んでこないだろうという現実的な事情もある。そういう意味では上三つのルールと比べるとゲームへの影響はきわめて軽微である。