自由意志について再考する

自由意志は、古典的には「私は他の選択肢を取り得たのか」「世界が因果法則に従うなら、私はどこまで自由なのか」という形で問われてきた。だが、この問いは単に古い哲学の蒸し返しではない。近年、脳科学は「意識的に決めた」と感じる前 … 続きを読む

人間と環世界

本稿は、「それぞれが異なる世界を生きている」という環世界(Umwelt)の見方から出発し、「生きるとは何か」「主体とは何か」「社会とは何か」「倫理・行為・責任とは何か」までを、単一の枠組み(更新構造)で接続して整理する。 … 続きを読む

刑法について考える

犯罪行為が、遺伝、発達、家庭環境、教育、貧困、社会的排除、本人の判断、その場の状況といった条件の連鎖から生じるなら、国家は何を根拠に行為者へ苦痛を課せるのか。因果から独立した自由意志を否定しても、行為の帰属、被害の事実、 … 続きを読む

生きているとはどういうことか

本稿の中心仮説は、生命・自己・意識・死を、特定の物質の種類ではなく「自己を保つために状態を更新し続ける仕組み(更新構造)」として統一的に理解できる、という一点に置く。さらに、死の本質は停止そのものではなく「更新を再開でき … 続きを読む

中核仮説と構造化されたテーマの設計

本稿の目的は、昨年末くらいから書き進めてきた一連の論考が、どのような中核仮説にもとづいて構造化されてきたのかを明示し、そのうえで今後ここに記すべきテーマ候補を層構造として一覧化することにある。個別記事の内容は多岐に見える … 続きを読む

性感とクオリア

本稿は、最初から一貫して「性感」を主題として扱い、その主観的体験であるクオリアがどこから生まれ、なぜ強烈で、なぜ本物として感じられるのかを、生物学・神経科学・制御理論の枠組みで体系的に整理することを目的とする。性を文化的 … 続きを読む

クオリアとは何か

赤を見る感じ、痛みの痛さ、音の響き方のような主観的な質は、哲学ではクオリアと呼ばれる。ただし、クオリアは神経科学で一つの変数として定義された用語ではない。体験の内容、意識状態、報告可能性、自己帰属、感じそのものが、同じ言 … 続きを読む

なぜ世界は意味を持つのか

世界に規則性があることと、世界が意味を持つことは同じではない。物理法則は、ある状態から別の状態への変化を記述する。しかし、その変化が好ましいか、避けるべきか、何のために利用できるかまでは決めない。 本稿では、意味を「主体 … 続きを読む

時間はどこにあるのか

時間についての議論が混乱しやすいのは、一つの「時間」という語が、異なる説明対象を指しているためである。相対性理論が扱うのは、出来事の順序、時計の比較、観測者ごとの固有時である。量子重力で問題になるのは、時空そのものを量子 … 続きを読む